(2)  公園内ではどこでも林があるのに、なぜ2-3区は鳥が多いのか。

2区の豊かな林
東の道路南端から北方向の眺め
2区の豊かな林
西の道路中ほどで北方向を見る
3区の豊かな林
東の道路北端から南を見る
3区の豊かな林
西側の道路中ほどで北方向を見る
公園の木が茂り、空が見えないくらい林が豊か(2区)

林のあるところでは、公園内ではどこでも木々は高く、密度も決して見劣りすることなく生えているのに、なぜ2-3区は鳥が多いのか。園内の多くの地区で、林は確かに立派に成長しており、木々の高さも相当高いが、その林は決して広大なものではなく、小さな一部分にとどまっている。3区は長さでは一番長く、2区はその次くらいになるのではないか。分断されない林の面積の広さという点が重要なポイントなのではないだろうか。

次に(1)で述べたように、園内道路の位置が関係していると考えられる。2-3区は園内の通過道路は東側に一本あり、それ以外は、道らしいものは少ない。(写真参照)
実は、林が舗装道路で分断されていない場所は、12区の中で2-3区だけと言えるほど他の地区では少ない。多くは2-3区よりも幅の広い立派な道路や水路またはその両方が林の中央を貫いている。散策用の舗装のない道が作られているところもあり、自転車は舗装道路を走り、人は非舗装道路を歩くという形で、鳥たちの暮らしの場が狭くなっている。
注:整備計画では、公園のほぼ中央に水路と道を通すもので、現在の優位性が完全に失われることになります。

(写真をクリックすると別ページで大きな写真が表示されます。)

2区草の広場から北を見る。東(右)側に通路と
水路があるが、林を分断する道路はない
3区東の通路から南西方向を見る。左に水路が
あるが、林を分断する明確な道路はない
4区の南端で東方向を見る。藤棚下の
通路の北(左)奥には別に広い舗装道路がある
5区の水路北側の通路で西を見る。
北(右)奥には非舗装の道が続く
6区親子の森の非舗装の道で西を見る。
左に水路、右には広い舗装道路がある
7区浮橋の東から東側を見る。右端に水路と通路、
中央左側に細流と舗装された細道がある。
8区水路わきの通路で東側を見る。写真で見られ
ないが、左奥には幅広の非舗装の道がある。
(もみじが池は前方左側にある。)
9区正面(西側)突き当りに野鳥の島がある。
右側に水路がある。
10区中央に広めの流れがあり、
その両側に舗装道路がある。(西を見る)


仙台堀川公園の南には公園から4-50m
離れて「葛西橋通り」が走っている。(左は西)
南側は葛西橋通りに面して、また、公園に接して高層の建物の数が東側に比べて圧倒的に多い。2-3区では周辺は比較的に伝統的家屋が多く、公園に接してはいないが付近に昔ながらの商店もある。伝統的な家屋や電柱、標識などで営巣、産卵したスズメやムクドリが育雛や生活の場として公園を利用することは自然である。高層建築物は、このような鳥たちの巣が作りにくい構造または素材で作られていることが多く、近隣で繁殖し、公園を利用する鳥たちの数が少ないのではないかと推測され、このことも関係しているように思われる。
また、荒川河川敷から1㎞程度しか離れていないので、チョウゲンボウやカラスなどもスズメやムクドリと同様、河川敷と公園の両者を生活圏として利用している可能性がある。

また、その可能性としては大きくはないかもしれないが、高い建物は南側の地区に比べると2-3区周辺の方が少ないので、高い建物に囲まれた緑地よりも、上空からの視認性も高く、渡り鳥も利用しやすい面もあるかもしれない。

スズメなどは電柱や標識等の隙間を良く利用して繁殖する
整備計画では、両側道路の電線を地中化する。これは小鳥たちの繁殖場所を減少させることにつながるが、ほかの民家や商店等の環境は急には変わらないので、電線等がなくなることは野鳥の生息数に大きな影響とはならないだろう。
しかし、幅が広い園内通路が蛇行し、大半の場所で林の中央部を通る計画は、2-3区の一番の長所である長く続く林が分断されることにつながり、2-3区が持つ優位性が失われてしまう。
また、桜を増やすことは、現在の多様な樹種を極端に単調化することにつながり、現在の多様な生物を育む環境は失われてしまう。
これらの効果により、2-3区は整備が完了した後は、野鳥が激減し公園内のどの場所よりも少なくなることが懸念される。



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