(6)  ハシボソガラスは、9区と2-3区以外では、ほとんど見られない。

9区で繁殖したハシボソガラスの幼鳥

江東区においてハシボソガラスは決して稀な種類ではないが、主として荒川河川敷など人が比較的に少ない環境で観察される。仙台堀川公園では9区と3区で繁殖実績があるため、出会う可能性が高いが、そのほかの地区ではまれに見かける程度である。ハシボソガラスが9区と2-3区で繁殖した理由、ほかの地区と比べて多くみられる理由は不明であるが、ほかの鳥類もこれらの地区で多く生息していることと共通する長所、例えば自然環境がハシボソガラスにとって他の地区と比べて優れているということがあるのではないかと推測される。


(7)  シロハラは1区と2区、オオヨシキリとオオルリは3区のみで記録されている。

暗い林を好むシロハラは仙台堀ではなかなか見られない
(葛西臨海公園にて)

江東区内では特別に少ないわけではないが、この公園にとって、記録が少ないシロハラは1区と2区のみ、通常川辺にいるオオヨシキリと江東区内ではほとんど見ることができないオオルリは3区のみで記録されている。
シロハラは冬鳥で、比較的暗い林の地面でエサを探す。区内に暗い林を持つ環境が多くはないので、1-2区に現れるというのは、シロハラにとって優れた林の状況であることがわかる。しかし、残念ながら長く滞在するわけではなく、すぐに飛び去ってしまう。単なる立ち寄り場所として利用されたものと考えられる。大型ツグミspとして記録したものもシロハラまたはアカハラのいずれかである。

オオヨシキリとオオルリは夏鳥で、渡りの途中に一時立ち寄ったものと思われる。このように、渡り鳥たちが一休みできる環境があるということも、この2-3区の自然環境が優れていることを示すものと考えられる。渡り鳥がもっと利用しやすいように環境を整えてやることが今後の課題となろう。

(8)  チョウゲンボウは記録のうち過半数は2-3区で記録されている。

ハヤブサの仲間チョウゲンボウは記録では累計7羽出現しているがそのうち過半数(4羽)は2-3区で記録されている。チョウゲンボウは各地で見られているが、調査においては2-3区で多く記録されている。チョウゲンボウは公園周辺でエサとなる小動物を探しているものと考えられる。実際に採餌をしているところは見ていないが、この地区の良好な環境を示す一つの例であろう。

前頁に戻る  次頁に進む
このページトップへ