4.  2014年-16年5月仙台堀川公園カルガモの繁殖状況

≪参照資料≫
資料2 2014年-16年5月仙台堀川公園カルガモの繁殖状況
資料2-1 仙台堀川公園でのカルガモの繁殖状況-その1-(NL通信52号掲載)
資料2-2 仙台堀川公園でのカルガモの繁殖状況-その2-(NL通信掲載予定稿)
資料2-3 仙台堀川公園でのカルガモの繁殖状況-追補-(NL通信掲載予定稿)

≪データの説明≫
資料2は、2014年以降16年5月までのカルガモの繁殖にかかわるデータをすべて一覧できるよう表示したもので、年ごとに表1~3に分けて記載している。新たにヒナを連れたカルガモを見た日付順にA,B,C・・・とその家族を識別する記号をつけ、その後の記録のときにはその家族別に動向を追跡した。初めて見た日と、最後に見た日をそれぞれ初認日と終認日とし、その時のヒナの数を記載している。
その家族を最後に確認した時までに、その家族を確認した場所(調査地区の区番号)を記している。終認のときのヒナの数が赤字のものは成鳥となり飛び立ったもので、それ以外は全滅したものと考えられる。
調査は、ラインセンサスの時に行われたが、調査日以外でもカルガモを観察した場合にはその時の動静を記録しているので、調査回数はその家族によって異なる場合もあり、調査日が多さが生存の長さと比例するわけではない。
資料2-1~2-3は2014年のカルガモの繁殖状況をNPO法人ネイチャーリーダー江東の機関紙「NL通信」に掲載したもの(資料2-1)と将来発行があれば掲載される掲載予定原稿(資料2-2~2-3)である。

2014年の個々の家族の動きについては資料2-1~2-3に詳しく記載しているので省略するが、2015年のデータについては、以下に補足する。

4月28日(初認時)のAの親子
5月11日のA、親はなく5羽のヒナだけ
2羽は左の草の中
6月10日のA、成鳥に近い5羽のヒナ

Aは初認時に親が8羽のヒナを連れた通常の家族であったが、2度目の観測以降成鳥になるまでずっとヒナだけで育った 特異の家族である。親に見捨てられたヒナだけでも無事に育ちうることを証明したもので貴重なデータであると思われる。2014年には7区で生まれたAの家族は早いうちに親に連れられ6区との往復を繰り返したが、2015年のAの家族は親と別れた時点がまだ幼いヒナであったので、遠くに移動する知識を持ち合わせておらず、6区に移動したのを確認したのは初認から30日以上経過した6月1日であった。この家族は成鳥となった後も結束が固く、7月9日に最後に見るまでほとんど全員が一緒に行動していた。(常に5羽が一緒にいるので他のカモと異なり見分けは容易であった。)

6月28日(初認時)のIの親子
6月28日(初認時)のJの親子

また、2015年のIとJは、6月28日に同時にほぼ同じ場所で初認した別々の家族であるが、親と8羽のヒナという点が同じで、その後の識別が困難であることを予感させた。その後7月2日にはI、Jとも観測せず、7月7日に親と1羽のヒナ、7月9日には親と7羽のヒナ、最後に7月21日に1羽のヒナのみ確認した。7日のヒナと9日のヒナは、いずれかがIで他方がJであろうが、21日の1羽は果たしていずれのヒナなのかはわからない。記録としては7日以降IまたはJとして記しているが、表2においては便宜上Jが1羽残ったものとして記載している。

6月23日のGの親子
親に従って速やかに岸から離れた
Gの家族についても触れておきたい。この家族は当初から1羽のロスもなく全員が成鳥として飛び立った。これには母親の力が非常に大きいと認識した。
ほかのカルガモの親と異なり、Gの親は、ヒナが群れから大きく離れることを嫌い、常に親の近くを泳がせており、ヒナが岸の近くにいるときに、人が近づくとすぐにヒナに声をかけ全員が岸から離れていった。
11区のやすらぎの滝にいて、ヒナが自由に泳いでいるときも、親はあたりを見回して常に気を配っていた。その気迫が他のカルガモにはなく、非常に印象に残っているが、そのおかげで無事に全員が飛び立つことができた。
7月21日のG、左奥の親が大きくなったヒナをしっかり見ている


2014年のAは、2羽の成鳥が絶えずヒナと一緒にいることにより多数のヒナを飛び立たせたが、経験のあるしっかりした親が管理できるのであれば、ヒナのロスを最小限にできる好例であろう。


前頁に戻る  次頁に進む
このページトップへ