5.  2区におけるオナガの生息数推移の経年変化(剪定作業の影響)

≪参照資料≫
資料3 2区におけるオナガの生息数推移の経年変化(剪定作業の影響)

≪データの説明≫
資料3は、2013年から2016年までその年のすべての調査日に2区でオナガがどれだけ計測されたかをグラフによって示したもの。日付は年初の日から1月ごとに区切られたもので、年初以外は必ずしも調査日に合致しているわけではない。その年ごとの特徴をグラフの横に注記している。

(このデータから分かること)

14年6月の剪定作業

この資料は2014年の6月10日にたまたま、オナガが巣作りをしているあたりの樹木の剪定(大規模な枝の切り落とし)をしており、群れで営巣するオナガたちが騒ぎ立てていた。その後この地点のオナガが激減した印象があるので、このたびグラフにしたところ、その年のオナガの動向には大きな変化が見られなかったものの、翌年以降には明確に表れていることが判明した。

剪定作業前の様子、枝の葉が豊か
13年12月
剪定作業中、右側の木は剪定済み
14年6月
だいぶ回復したが、オナガは利用していない
16年7月
実は、その後も今年に至るまで仙台堀川公園でオナガが好んでいた場所6区、5区、4区でも相次いで大規模な剪定が行われ、その林が非常に明るくなったと同時にオナガの数が減っている印象がある。資料1-1~資料1-4の各年(1-1では一年半)の数字を見ると、12-13年ではオナガの公園内累計数は、1,290(この期間は調査回数も少なかったため1年半の状況というよりは約50回の調査日累計という見方をしたほうが、ブレが小さくなる)いたものが、14年で1,331羽、15年で987羽と少なくなっており、2区ですみかを追われたオナガが、公園内のほかの地区に移ったということではなさそうである。16年では5月までの22回の調査回数ではあるが277羽であり、“たかが剪定程度”でも、場合によっては決定的な打撃を与える可能性を示しているものと思われる。

剪定作業の危機を乗り越えたヒナ
14年8月

今回の整備計画のような大掛かりな公園の改変は当然問題が大きいが、日々の手入れの部類である剪定作業もそのやり方によっては、ある生物に致命的な影響を与えうることを部分的に示しているものと考える。整備計画のQ&Aに書かれているように野鳥は一時的に減少するが、早く戻れるよう公園造りで対応できるのだとしているが、どういう根拠で必ず何年で戻るということを、具体例を示して納得させない限り、無責任な対応であると考える。改修の仕方次第で、仙台堀川公園が創設されてからの30数年以上の時間をかけても将来2度と回復しない自然もありうることを念頭に置くべきであろう。

一方、工事をしなくとも現在の公園の管理方法を工夫すれば、現在の生き物以上に生き物を増やすこと、多様化させる可能性はある。現在行っている草の根までを掘りつくすような草刈りは土壌を露出させることにより、風化に弱く土砂が流出し、木々の根が露出することにつながっているが、場所により、草の高さを調整し、日陰にはその場所にふさわしい植物や菌類を配することにより昆虫などの小動物類を含めた生物相が豊かになり、それによって来訪する鳥類も増加する可能性を秘めている。このような管理面での対応は、結果として生き物を助けるために人間を排除するのでなく、人間も生き物との共存を楽しみながら、現在享受できている公園のやすらぎをより豊かにしていくことにもつながるものと考えられる。

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