問題の所在

3. 整備計画の内容の問題

平面比較図(1/3)
平面比較図(2/3)
平面比較図(3/3)
仙台堀川公園の整備計画の基本設計資料については区のホームページで「仙台堀川公園整備計画についてお知らせ」から「説明会配布資料」(数ページに分かれている)をダウンロードできます。
現在の公園との断面の比較からスタートして現在と計画とを平面で比較した図もあります。右は平面比較図のみ転載しています。(クリックすると別頁に大きな画像が表示されます。)

平成26年の意見を募集した区報や平成28年の説明会開催を通知した区報を見ると、 「公園施設の老朽化」「自転車の通行量増加」「公園の両側の道路の交通安全上の課題」などが書かれているので、基本的には公園のトイレと道路の問題だと考える人が多いと思います。しかし、渡された資料(公園内で掲示されているものと同じ)を見ると、その書かれた内容とは全く違う世界が展開していることに驚かされます。道路については、断面図に簡単に書かれているだけで、図のほとんどすべてが、公園を全く新しいものに作り直すというものになっています。

    以下の問題点は主なもので、順序は重要性と関係ありません。
  • 公園の幅が、34mから26mと大幅に狭くなっている
  • 現在の水路は暗渠にされ、新たに浅い水路が設けられる
  • 現在の高木のほとんどが新しい樹木に置き換えられる
  • 新しい樹木の中で、桜の割合が大きい
  • 公園の通路はほぼ中央部を通り、林の面積は大きく削減される
  • 生き物の繁殖はおろか、生活の場としての配慮も全くなされていない
現況の凡例基本設計の凡例

樹木のどのくらいが入れ替えられるのかを整備計画の基本設計で、平面比較図を見るときに、現況では左図の左側の凡例を、整備後は左図右側の凡例を参考に比較してみると現在「高木」がいかにたくさんあり、整備後は、どれだけ新しい木が現在の高木に入れ替えられるのかがわかります。入れ替えられる木の中で、桜の木が多いところも目につきます。

現在の高木の大部分が新しい木と入れ替えられ、林の面積は大幅に削減され、水の流れが新しい浅いものに変えられ、流れの変化は幅のみとなる、樹種の多様性は減少する・・・などなど「環境基本計画」や「みどりと自然の基本計画」で繰り返し述べられている、エコロジカルネットワークの視点、豊かな樹木の適切な維持管理、多様な生物の生息の場の確保、などの内容はすべて無視されています。つぎ込まれたお金と区民や管理者の努力によって、公園全体が大きなビオトープといえるところまで生態系が発達した30年の歴史を全く無視して、さらに多額の金銭を使って粗悪で生き物の息吹を感じることがない新しい都市公園を創設する必要がどこにあるのでしょうか。区がやることなのに「環境基本計画」の精神を無視することが許されるのでしょうか。
整備計画完成後のイメージ図: 「区民の森」はどうなってしまうのでしょう?



このサイトは、仙台堀川公園に生息する鳥類数の4年間の調査結果を基に、整備計画の工事対象区間が、仙台堀川公園の中でも最も重要な位置づけにあることをデータに基づいて説明しています。調査結果は「環境基本計画」と「みどりと自然の基本計画」で指摘されている事項が、まさに重要であることを証明する内容となっているともいえましょう。
もし、この整備計画を実施するなら江東区、ひいては東京都においても貴重な自然環境が失われ、現在繁殖している絶滅危惧種の猛禽類の稀に見る繁殖環境も失われてしまうこととなります。
江東区民は勿論、区内に勤務する人々や江東区を訪ねる多くの人たちの憩いの場を損ない、東京都の貴重な自然を失わせる非常に危険な挑戦であると受け取らざるを得ません。

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